今回も前回の続きで『新「いい家」が欲しい』を読んでみての書評を綴っていきたいと思います。新聞の最下段によく広告が載っているので気になっている人もいらっしゃると思いますが、この本だけを読んで内容を鵜呑みにしたらきっとほかの工務店やハウスメーカーで家を建てるのは嫌になると思います。
以前の日本は舗装している道も少なく、家も木造の塗り壁が多かったので、ヨーロッパの石畳やレンガ造りの街並みと違って熱をため込むものがなく夜になると涼しくなって湿気が飛んでいたのですが、だんだんと道路はアスファルトやコンクリートで舗装され、コンクリート造の建物が増え、エアコンで熱気を振り撒いて夜になっても気温の下がらない街を作り上げていったのです。それに合わせるかのように地球規模での温暖化も進んだので、夏の風情がなくなっているように感じます。
この本では、夏は暑く冬は寒い日本で快適に過ごすために住宅ができることを紹介しているのですが、日本の住宅が西洋に追い付け追い越せの勢いでいろいろと試行錯誤していく中で失敗が多かったのも事実ですから、失敗事例がでっち上げとは言いません。それでも、色んな会社の担当者はまじめに住み心地を向上させようとしているのにそれを完全否定しているようにも感じてしまい、どうも押しつけがましいように受け取ってしまいます。
この本では「どんなに営業マンがいい人であっても、マスコミが褒めようと、カタログが立派であろうと「いい家」できないことを知るべきです。P.33」と言っています。これは真理だと思います。営業マンが家の品質を管理するわけではないし、マスコミはお金さえ払えばナンボでも褒めてくれますし、豪華なカタログの制作費も顧客からの建設費の一部が回されているだけで品質コストアップにつながるだけでどれも住み心地には関係ありません。
著者の意図としては、この本を読んで何が正しくて何が過剰な言い回しになっているかを見極める事が要求されているように思います。
大工の腕によって品質が変わるのはどうしようもありません。そのために大手のハウスメーカーは現場での作業を減らして、品質にムラが無いように工場で製作できるものは工場で作るように知恵を絞るのです。著者もそれが分かって自分の会社の大工の腕に自信があるから他の会社のことをここまで言えるわけですが、もし会社が大きくなって社内の大工が50人100人と増えていった場合に品質にムラが出てきたらどうコメントするのか楽しみです。
きっとこの本を読んだ人でちゃんと著者の影の意図をくみ取る人はいるのでしょうがまだまだ今の日本では少数派ではないでしょうか。
皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。
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