廃墟になった建物を市が所有者の代わりに解体しました

建築一般

滋賀県野洲市に在った誰も住んでいない鉄骨造3階建て(9戸)のアパートが2020年6月に行政代執行という形で解体されました。グーグルのストリートビューではまだ解体される前の朽ち果てた姿を見ることができます。

Google マップ

10年以上前から誰も住んでいない状態で近隣住民から「階段が崩落している」、「手摺がぶら下がっている」等という苦情がずっと寄せられていたそうですが、一部の所有者の所在がわからないということで議決権の4/5の賛成を得ることができずに建て替えることも解体することもできない状態でした。それでも、このまま放置できないと考えた市は「空き家対策特別措置法」に基づいてこの建物を倒壊の恐れのある建物、いわゆる「特定空き家」に指定して行政代執行の解体が行われたわけです。

Google Mapより

区分所有法に、「建物を建て替えるには区分所有数と議決権(専有面積)の4/5以上の賛成が必要」と決められていることから、9戸しかないこのアパートでは8人以上の所有者の賛成が必要だったのですが、連絡先不明の法人所有者と、呼びかけに応じない個人一人が市の主催する説明会に出席しなかったので、他の参加者が解体に賛成しても4/5以上の賛成とはならなかったのです。

私の家の近くにも長らく持ち主不明の張り紙がされている建物がありましたが、皆さんの家の近くにも、空き家というものは存在していると思います。中には廃墟のように屋根瓦が朽ちているものもあるかもしれません。個人の持ち物ならその個人が特定できれば、危険な建物を解体するにしても話は早いのですが、この滋賀県のアパートのように集合住宅となると8割以上の人の同意が必要となりますので、話がややこしくなります。

特に日本の法律では、たとえ廃墟でも土地の上に建物が建っている方が、建っていない更地の状態よりも固定資産税が安くなります。その軽減措置特例があるため人が住んでなくても家を解体する人が少ないのです。

Google Mapより

最近ようやくマンション建替え円滑化法などは、耐震性能が低い建物だけでなくて、外壁が剥離するなどの危険な建物も敷地売却できるようになったりして、できるだけ廃墟にならないような法整備が進んでいますが、相続人不明や法人所有者の夜逃げなど対応しなければならない課題も多いようです。

築年数が古くなると所在不明や連絡先が不通となった所有者の割合が増えてきますし、周りにも古くて安いマンションなどがあると、それよりも築古のマンションは売るに売れずに売れ残ってしまいます。今回は廃墟となった集合住宅は、所有者だけでなく相続人や近隣住民、自治体など誰一人幸せにならない結末を迎えるという話でした。(ちなみに、滋賀県のアパート解体は危険な状態だったので1億1800万円かかったそうです)

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コメント

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