改めましてこんにちは、一級建築士のイケイナオキです。私の知り合いの構造設計士さんがコロナ禍のうちに事務所を畳んでいたそうです。去年お会いした時は70歳でまだ頑張って設計業務をこなしていたので、あと数年は元気で現役生活を送るんだろうと勝手に想像していたのですが、「丁度いい機会だったので辞めたった」と笑っていました。
それで調べてみたのですが、構造計算書偽装の姉歯事件以降2006年に一級建築士の試験制度も変わって難易度が上がっているそうで、合格者の年齢が上がっています。(つまり一発合格が少なくっている。)それに加えて、少子高齢化の影響もあって受験者数も減っています。出生率と同じくらいの比率で受験者数が下がっているので建築士の人気が落ちているわけではないみたいですが・・・。
それで、国土交通省の発表を元にグラフを作ってみたのですが、事務所に登録して現役で設計の仕事をしている一級建築士の8割は40~60代でした。お金をもらって設計の仕事をするには設計事務所に登録しないといけないというのが、建築士法という法律に定められています。なので、事務所に登録されている一級建築士は20代であろうが、90代であろうがやる気があるとみなされて現役なのです。
気になるのが、20代、30代の世代が全体の12%と少ないことです。一番頭の吸収の早い世代なのにこれだけ比率が少ないということは今の60代が引退したあとの技術の継承や、すでに建っている建物の増改築が問題になります。ちょっとした増改築についても建築士の資格がないと出来ないので不安でいっぱいになります。建築の仕事というのは工場生産品と違って「なり手が少ないので拠点を海外に移そう」という話にはならないですよね!やはり実際に現地を見て、高低差や車の出入りなどでどの様な工事ができるのか判断する必要があります。
私も独立する前は、視点が低かったのでライバルは年配の人が多いから長く続けていれば仕事も増えてくると思っていたのですが、視点を上げて全体を見渡せばどうも大きな問題のようです。毎年、3,000~4,000人くらいの試験合格者がいるので一気に建築士が居なくなるわけではないのですが、災害などがあると建築士不足で困る事態にもなりかねません。
建築士という仕事は簡単な仕事ではありません。ほとんどの仕事は期限が決まっていますし、正解のない仕事です。施主さんの機嫌一つで大幅な変更が生じることも多々あります。それでも、自分の頭の中でイメージしていたものが実際に形になるのはワクワクします。設計の段階ではA3用紙の上に描いていただけなのに、現場で見ると巨大な建造物に変わるのです。スカイツリーや国立競技場やあべのハルカスのように誰でも知っているような建物を作る人はごく限られた人ですが、寝るにしても、働くにしても、物を保管するにしても生活する上で建物は必要です。もし、あなたの周りに建築業界の人が居るなら遠くからでも良いので応援してあげてください。
皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。
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