前回の家が落ちてきたという話の続きなのですが、倒壊した建物の隣の建物は半分地面がない状態でまだ落ちずに残っているのですが、今にも落ちたりしないかと冷や冷やしています。しかも、その中には病気の猫が取り残されているのに、危なっかしくて誰も助けに行けないというではありませんか。無事、救助してあげて欲しいものです。
前回の記事はこちら
擁壁の崩壊
実は私も以前に間知積み擁壁の崩壊を経験したことがあるのです。とは言っても、実際に目撃したわけでもなく、担当している現場で起こっただけで、原因も確かな所は分からずじまいでした。その時は建物を支える杭を地表面から施工した後に、基礎を掘削するための山留を施工しだしたときに発生したそうです。古い擁壁と新しい擁壁が混在しているような区画で、古い擁壁には大事な水抜き穴がなくて、その部分だけが崩落しました。
幸い、私の担当物件の時には周りの人が異変に気付いて逃げたおかげで怪我人もなく、周りの住民にも、すぐ横の道路にも影響がなく、何のニュースにもならなかったのですが、先週、大阪の西成で起こった家の倒壊では大きなニュースになりました。
大阪市が代行して取り壊し
倒壊した家の隣の建物はまだ元の姿のまま建っているとはいえ、今すぐに倒壊してもおかしくない状態ですから、放っておくわけにもいきません。力強く蹴っ飛ばせば落ちてしまいそうな状態です。なので、崖の下で工事を行っていた業者と建物の所有者が協議して、誰が建物を解体するかという話でもめていたそうですが、すぐには決着がつかず大阪市が代わりに解体して、責任がある方に代金を請求するという名代官のような裁きが下りました。最初から大阪市が取り壊しを決定出来たら良かったのですが、あくまでも個人所有の土地と建物を行政が勝手に手を入れることはできないので、あくまでも所有者の意向に沿った形で物事を進めていくようです。
きっと他にも・・
今年の大阪は早々に梅雨入りしてほぼ毎週末雨が降っていました。今回の事件は水はけの悪い土が水分を含んで重くなった状態で、崖の下で工事が始まり振動を与えることで被害が発生したと思っています。比較的新しく作られた擁壁ではちゃんと水抜き穴が設置してあり、擁壁の裏に水が溜まることはないのですが、悪さをする要因が重なって起きた不幸な事故だったと言えると思います。建物自体は1968年に建てられたというのですが、擁壁自体はもっと前からあったようで、いままでは、普段通りであれば何も起こらなかったのです。日本は山が多く、崖の上に家を建てたいという事で同じような施工をしている家が他にもあると思います。擁壁が家の近くにある方は自分で調べてみるのもいいし、専門家に調査を依頼してみるのも大事だと思います。
他人事ではなく、次は自分かもしれないと思ってください
建物や土地の所有者は擁壁(間知積み擁壁を含む)や斜面やブロック塀も含めて自分が管理者であるという事を意識してください。自分が管理するべき築造物が他人に被害を与えると、意図せず自分が加害者になってしまいます。役所の方でもリスクのある擁壁や塀や斜面を把握して所有者や下の土地の住民に情報を提供するなど、官民が一丸となって災害に向かっていかないといけませんね。
皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。
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