木造住宅の現場について

構造

工事現場の話なのですが、木造住宅の工事現場はあまり好きではありません。現場の方は皆さん良い方ばっかりなのですが、どうもガチャガチャした雰囲気があって私には馴染みにくいのです。そこで、今回はこの理由をちょっと考えてみます。今まで漠然としたイメージを言語化することによって皆さんにも伝えることができれば幸いです。

構造が関与することが少ない

今までの仕事は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物が主で木造は経験が殆どないので、現場にあるものが目新しいものばかりということがあります。これは、私だけの話で木造の現場しか経験のない人では感じることのない気持ちでしょう。木造住宅の中でも2階建て程度なら役所に提出する確認申請の中に構造計算書を添付する必要がなく、筋交いの枚数程度しかチェックされずに済むことが大半です。なので、木造を専門にする構造設計事務所や、木造の比率が高い構造設計事務所でないと関与することが少ないのです。今まで関与することがなかった構造の代表が私です。

敷地が狭い

駐車場付きの店舗や工場や倉庫はそもそも車を停めるスペースがあるので、敷地の中で建物が占める面積は少ないのですが、木造住宅は敷地いっぱいに建物を建てることも多く、そのような場合は建物以外のスペースが狭いです。そうするとどうしても物を置くのもガチャガチャしてしまうのだと思います。建物の骨組みが建って、屋根・壁ができると中で休憩もできるのですが、その頃には構造の検査も終わっています。構造の出番はなにもない状況や正に骨組みを建てているときですから、ほとんどが陽を遮るもののない炎天下の下で検査することになります。そんな時に敷地の隅に現場事務所があれば良いのですが、木造住宅の場合はほぼ現場事務所はありません。

規模が小さいので掛け持ち

工務店やハウスメーカーの現場監督さんも大きな工事現場だと人の出入りやお金の計算にてんやわんやで現場に居ることが多いのですが、木造住宅の監督さんは掛け持ちで管理することが多いので、あまり現場の違いを理解せずに業者任せにする人がいます。(全員とは言いませんが)掛け持ちだとどうしても現場の清掃や片付けまで口酸っぱく指示することができないのだと思います。それで、現場がガチャガチャしてしまうのでしょう。

小さな工務店の教育不足

大手のゼネコンやハウスメーカーでは現場監督に対する社内教育もしっかりしていて、清掃や片付けを徹底して見せる工事現場を意識しているのですが、どうしても少人数で経営している会社の方が社内教育は疎かになりがちです。現場が整頓されていないのはその影響もあるかと思います。現場でつまずいたり、何かを落としたりするのを防ぐには整頓されている事が一番大事だと思うのですが、どうしても後回しにされがちになるのだと思います。

まとめ

いろいろ考えてみると現場の雰囲気よりも年配の方が今まで慣例的にしていた仕事が間違っていた場合に、正しい方法を提示しても、それが手間がかかることだと反発されることが一番かもしれません。前述したとおりに確認申請で構造のチェックがないとどうしても簡単な方法で済ましていることが多いようです。長くそればっかりしていると、それが正しい方法だと思ってしまうようで、よく「今までこれでやっててんからエエやろ!」と言われるのですが、今までやっていたことが間違っていたと言うと反発されます。それが一番辛い事ですね。

皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。

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