今、家の増築の案件を受けています。ただすんなりと行くわけではなくいろいろと障害があります。今回の案件では新築時に役所の完了検査を受けてなくて完了検査済み証がなくて増築の手続きが難航しそうです。
増築するには絶対条件として土地の広さが増築できる分確保できていることがあります。(それは皆さん分かっていると思います)それと今建っている建物がちゃんと今の建築基準法に従っているかどうかが問われます。面積もその土地で決められた面積をオーバーしていない事、敷地も一定の幅が道路と接している事、隣の家との距離が狭い時には火事が燃え移らないように耐火仕様である事など、いくつも条件があります。
今回は建物が設計図と少し違う位置に建っているため、それが現行の法律に適応しているかどうか確認して審査してもらわなければ増築することができません。また、完了検査の際には設計図書通りに建物が建てられていることを確認するのですが、それを出来る範囲で今から確認する必要があります。柱や梁の材料はちゃんと計算されたもので作られているとか換気のための窓の大きさは基準通りになっているかとかチェック項目はいくつもあってそれを確認していくわけですが、手間暇は結構かかります。
建築業界の人でないと設計書通りに建物が建っているかどうかなんてきっと知る由もないのでしょう。ただ、建物を建てた人の財産を守るために法令を守るのは当たり前なのですがそれができていないことも昔は多かったようです。きっと今回の案件も道路から建物までの距離が離れていた方が車を停めるのに都合がいいとか、騒音が少しでも小さくなる方がいいとか、そのような施主様からの一言で建物の位置を動かしたのだろうと推測しますが、このようにお客様の要望が将来的にお客様のメリットになるのかデメリットになるのか判断に迷うことは多々あります。
まだスタートしたばかりでどのくらいの困難が待っているのかはわかりませんが、昔建物を建てた方は今一度建物の確認済み証や検査済み証があるのを確認してみるのもいいかもしれませんよ。ここ10年以内に建った建物で検査済み証がないというのはあまり聞きませんが、30年くらい前の建物で検査済み証が残っているのは結構珍しいと思います。
昔はベランダに部屋を増築するにしても、庭に小屋を建てるにしても建築基準法に照らし合わして確認申請を提出することもなく自分で増築したんだろうなぁというような建物をよく目にしました。今はコンプライアンスという言葉を聞くようになって設計事務所や工務店も確認申請なしに増築することはありませんが、やはり転売する時などには確認済み証や検査済み証が有る方が高く売れます。財産価値を高めるためにも建物の検査済み証はあった方がいいのですが、なかなかその価値を知っている人は少ないのではないでしょうか。
なんでも人任せにせずに自分でいろいろ調べて文章や言葉の裏を読み解いてくださいね。
また、家のことで気になることがあれば、無料相談に乗りますのでメールしていただければ少しだけお力になれると思います。(間取りを考えてくださいとか設計業務はできませんのでご了承ください。)
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