地盤沈下は誰のせい?トンネル掘削は難しい。

構造

東京都調布市で行っているトンネル工事の現場付近で道路が陥没するというとんでもない事故が起こりました。もともと地下40mよりも深いところでの工事で地表には影響がないと説明していた東日本高速道路株式会社も一転して今回のことでは施工ミスを認めるとのことです。

トンネル工事による陥没の原因は

原因としてはトンネルを掘るときに普通は出る土砂を外に出すため掘削機で取り込むのですが、その量が多すぎたために地表近くから雨など水が流れるのと一緒に土も流れて空洞ができたと考えられています。この工事では夜の8時以降は工事を止めていたので、掘削の周りを固めていた接着剤のような添加物が固まるなど想定外のこともあったようです。道路の陥没は3箇所見つかっており、陥没の他にも2~3cm程度の沈下や隆起があるそうです。これから再発防止や対策を考えるそうですが、地下のことは目に見えないところなのでまだまだわからないことも多く大変だと思います。

リニアでも採用されている大深度地下工事とは

大都市の地下にはすでに電気、ガス、水道、地下鉄などの地下トンネルや道路があるために平成12年に「大深度地下の公共的使用に関する特別処置法」が作られて、建物の下でも杭か打ってあるような地盤よりも下だったらあんまり迷惑もかからんし、許可なく勝手に使っても良いんちゃうということになりました。それまで、地表面の土地所有者に許可をもらっていたのを無くしたのですが、東京の道路工事では断りもなく工事していたため夜間の掘削は振動などに対する苦情が多かったそうで、夜の8時以降は工事を止めていたのも悪影響を及ぼしたりしていました。

日本の平野部はほとんどが軟弱地盤

日本の平野部は川が運んできた細かな土砂や火山灰が堆積してできた土地がほとんどです。みなさんも中学生の時に習った三角州などで、最近の埋め立てや、田畑の造成地なども軟弱地盤です。広島県の東部の福山市や岡山県の西部などはいまでも地盤沈下が進んでおり、平屋(一階建て)の建物でも杭を打たないと沈下して傾いてしまうような土地でした。建物には杭を打って沈下を止めることはできるのですが、周りの道路の沈下はなすがままなのでその段差をどのように解決するかというのも建築の問題としてあります。

重い建物には杭を打つ(イメージは豆腐の上です)

建物にも重い建物と軽い建物があって、木造住宅などは軽い建物に分類されますし、鉄筋コンクリートで4,5階建てだと明らかに重い建物に分類されます。地盤が悪い地域に重い建物を建てようとすると地震のときに地盤が緩んで傾かないように杭を打ちます。地震があると必ず地盤が緩むわけではないのですが、絶対に緩まないという保証もできないので杭は必要になります。軽い建物だと少々地盤が軟弱でもそっと載せてしまうことも多いです。イメージとしては豆腐の上に積み木を載せるような感じです。積み木一つなら豆腐の上にそのまま載せても豆腐が潰れることはありません。それでも、積み木を5つ6つと増やしていくと豆腐は潰れます。潰れないために豆腐に爪楊枝を刺して補強すれば積み木の重さを爪楊枝が負担して豆腐は潰れません。

まとめ

建物の重さのせいで地盤沈下することはほぼありません。逆に地盤沈下のせいで建物が傾くということはよくあることです。10年前の東日本大震災の時にも千葉県の埋立地で大規模な液状化が起こったために多くの建物が傾いて、街全体が機能停止になりました。地盤沈下を防ぐためには地下の掘削をしなければ良いのですが、福岡でも大きな道路の陥没があったように都市部では利用できるところはほぼ地下しか残っていません。土の性状というのはどこでも一緒というわけではなくちょっと離れるとかなり違うという地域もあり、やってみないと分からないという感じなので工事するのは大変だと思います。

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