建築の構造設計士の仕事(地震力編)

建築物の構造設計と言っても一般の人にはピンとこないかもしれませんが、ある大きさ以上の建物を建てるうえで必要不可欠な仕事でもあるのです。他の設計士が建てたい建物のイメージを安全に建てるためにアシストをする仕事なので、直接お客様と打合せすることはありません。なので、同窓会などで昔の友達に会った時に会社を辞めて独立するという話をした時には「じゃぁ家を建てる時にはよろしく頼むわ」と言われましたが、「ゴメン、家の設計はでけへんねん」と答えるしかありませんでした。医療に例えるなら普通体調が悪かったり怪我をしたら内科や外科に行きますよね、心臓血管外科や麻酔科を訪ねていく人はいないと思います。いわば、医者というひとくくりでも専門職があるように建築も専門職があると思ってください。

それで、構造設計の基本的な計算方法として「許容応力度設計」と「保有水平耐力計算」があります。昔の人は「一次設計」と「二次設計」という言い方をしていましたが、今はほとんどその呼び方はしていません。どちらも本当の地震のような揺れを想定して計算するわけではなく、法律で決められた大きさの力がじわーと建物にかかったとして計算します。その決められた大きさというのが「許容応力度設計」では大体震度5強くらいの地震を想定していて、「保有水平耐力計算」では震度6強から7くらいの地震を想定しています。

よく原子力発電所の再稼働や耐震性能の記事が出るたびに、どれくらいの加速度(gal)を想定しているかという話がでていますが、実際の複雑な地震動の動きを速度や加速度のような一つの尺度で評価しても被害の程度は想定できません。建物の高さや硬さが違うと同じ地震でも被害の大きさが変わったり、東日本大震災の時でも震度7を観測した宮城県栗原市よりも震度6強や6弱の福島県や茨城県の方被害が大きいなどの報告もありますから話は難しいのです。

昔は一人一台のパソコンもなく手計算で建物の設計をしていたのですが、今はパソコンが無ければ建物の構造計算はできません。構造計算を行うにしても、図面を書くにしても朝から晩までパソコンとにらめっこです。結果がちゃんと問題ないものになっているかどうかの確認はまだまだ人間が確認しないといけないので、全てをAIに任す時代は少し先になると思っています。

建築基準法は、昭和25年にできてから地震や台風などの被害が発生するたびに改正されてきました。それは、今までの設計手法が妥当なのかどうかの判断ができるのが被害の発生した時だけだからです。それで、簡便法でどのように被害を最小限にできるかを試行錯誤して基準を決めているのです。もし、色んな地震動の波を想定して建物を設計しようとすると設計だけで一年が必要になり、役所がそれを確認するのにまた半年ほど必要になりますので経済的にも時間的にも無駄が多くなってしまいます。

そのように建物の強度は揺れをそのまま使っていないという話をすると私の周りの人はイメージしていた設計と違うと言いますが、あなたのイメージしていた建物の設計と比べてどうだったでしょうか。

皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。

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