地震の地域係数とは

構造

建物を設計する時には様々な自然現象を想定してその自然現象に耐えられるように建物を設計します。一般的なものでいうと常時発生している人や物の重さ、倉庫やホールなどは一般的な家庭の重量ではなくかなりの重さに耐えられるようにしなくてはいけません。その他に積雪荷重や台風による風荷重、地震の揺れに対する地震荷重などがあります。立体駐車場などは衝突荷重なんかを見込む場合もあります。

地震荷重の算出には地域によって横揺れの大きさを建築基準法に則った地域係数を使って決めていきますが、もともと建築基準法ができた当時(昭和27年)の値を今でも使っていますので今の感覚に合っていないような気がします。

そもそも耐震性能が地域によって違うということ自体に違和感がある人も多いと思いますが、東京や大阪や名古屋や仙台は低減のない1.0を用いています。人口が集中している地域では福岡県が0.9という値を用いています。2016年に地震のあった熊本県では0.8という値を用いています。沖縄は特殊で0.7を用いていますがこれは政治的な問題も絡んでいます。

上記のように0.7~1.0まで幅がある理由としては当初古文書などを紐解いて過去の地震の大きさや頻度や震源からの距離をもとに想定しているからで、多くの記録の残っている東京や大阪、京都は地震の頻度も高く、当時から人口が多かったので被害者数も多く地震の被害が集中していたため高くなっています。そこから地域によっては幾度かの変更が加えられて今の数値に落ち着いています。

あまり値を変えてしまうと、すでに立っている建物が既存不適格と言って今の基準に適合していませんというレッテルを貼られてしまうのです。その最たるものが沖縄で地域係数の概念ができた時、沖縄はまだアメリカ領でした。関東大震災などがあって太平洋戦争後、日本の建築基準法はそれまでの地震の2倍の大きさで設計するように変更されました。その変更があったときに沖縄はアメリカ領のため戦前の基準のまま建物を建てていたのです。それをいきなり日本返還の際に2倍の耐震強度を持たせないと既存不適格にしろって事になると困る人が続出するわけですが、最初は2倍ではなくその0.7倍(それまでの1.4倍)に設定しておいて徐々にその数値を上げていけばいいと当時のお役人は考えたのでしょう。

白飯愛好家さんによる写真ACからの写真 

沖縄の経済状況もありましたし、日本人の悪い癖で変更を後回し、後回しにしているうちにその数値がいつの間にか固定化されてしまって沖縄の地域係数は0.7の低減された耐震性能しかない建物がいっぱい建っているわけです。日本国憲法にも言えますが、制定された当時は後から思惑を汲んでちゃんと変えてくれると思っていたのでしょう。

地震なんて発生してしまえばそんなに大きさが変わるものではなく東京でも福岡でも那覇でも同じように揺れるんです。どこの地域でも震度6強の地震は震度6強なんです。それを経済的な事情もあるでしょうがお役人の采配で変化を加えるのはおかしな話なんですが、日本の法律はそうなっているのが現状です。

ちなみに静岡県は独自のルールを定めており建築基準法の1.2倍の強度の地震に耐えるように設計します。

もしあなたが、地震に強い家がいいと思うなら最低基準の建築基準法通りではなく設計の時に耐震強度を1.2倍でも1.5倍でも強度を上げてもらってください。コストは高くなりますが安心感は得られると思います。木造やブレース構造の鉄骨造ならそこまでコストに跳ね返ってくることはないです。あまり高く吹っ掛けてくるならセカンドオピニオンを求めてもいいと思います。

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