緊急輸送道路に面した建物は耐震診断をしないといけないのか

構造

「緊急輸送道路」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、阪神淡路大震災の教訓を活かすためにできた道路で、当時はまだそのような指定がなかったために消防車や救急車が立ち往生して災害が大きくなったという苦い経験があります。神戸市は南に瀬戸内海、北に六甲山系の山があり市街地は東西に細長く横たわっています。そのため、主な幹線道路も東西に走っており、高速道路を除くと主な道路は二本しかありません。なので、阪神淡路大震災の時にはみんなが移動のためにその二本の国道を使おうとして大渋滞になりました。当時は関西で大きな地震が起こるとはだれも想定していなかったため神戸市も災害時の救急車両のことは全くの想定外でした。それ以後、災害時に救急車両が優先して救助にあたれるように「緊急輸送道路」が整備されたのです。

いつから義務化されたのか

「緊急輸送道路」とは名前の通り緊急時に輸送物資や救急車両などが通るための道路です。そのため、建物が倒れて道路をふさいではならないという事で「緊急輸送道路」に面する建物は耐震診断を行い倒壊しないように補強しなければならなくなりました。しかし、その法整備が整ったのは平成25年からで阪神淡路大震災から18年がたってからでした。東京都だけは財源がしっかりしているので、法整備されるより前から沿道の建物に耐震診断を義務化していました。その条例を全国に広げたような感じの法律になっています。

耐震診断をするなら

昭和56年の建築基準法の改正で建物の強度の考え方が大きく変わる前に建てられた建物は、ほとんど今の強度基準を満たしていませんので、何かしらの補強が必要になります。皆さん、ご自分の住んでいる建物は安全だと思っていらっしゃるので、ご自分の建物が強度を満足していないと知るとショックを受けます。特に鉄骨造の建物は足元の接合部が弱いので、補強をするにしても大掛かりになって建て替えするよりもお金がかかる場合があります。そのような事も想定して耐震診断を行わなければなりません。

耐震診断しないといけないのか

「緊急輸送道路」の沿道にある建物は耐震診断が義務であるはずなのですが、不思議なことに何故か建物の所有者の方が「耐震診断をするので補助金をもらえますか」と行政にお伺いを立てるらしいのです。なんだか「診断しなさい」と指名されているのか「診断します」と立候補しているのかわからなくなっています。

幸いにも私は「緊急輸送道路」の沿道に大きな建物を所有しているわけではないので、行政から命令が来ることはありませんが、自分の所有する建物が健全かどうかは調べてほしいと思います。ただ・・もし自分の所有する建物が強度不足なら売却するか、保有したままほっとくか、耐震補強するか、悩ましいところです。一応建築構造に携わっている人間なので建物の形状バランスや図面を見ればある程度の判断はできますので、危なそうな建物には手を出さないようにしていますが、不動産投資をするなら新耐震以降の建物にするのが無難だと思います。

皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。

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