あなたの今いらっしゃる場所もそうですが、日本では家や建物を建てるときに積雪に対しても安全かどうかを確認しなければなりません。それぞれの市町村ごとにどれだけの積雪があるかどうかが決まっていますので、その積雪深度を元にして建物に作用する積雪荷重を決定します。それが、平成31年から変更になっています。
平成26年に関東甲信越地方を中心に建築基準法で想定しているギリギリの積雪がありましたが、それで被害を受けた建物がありました。ギリギリ想定内だったら安全なはずなのになぜ被害が出たのでしょう?それは、雪が降った直後に雨が降ったせいで、屋根勾配の大きな建物は雪が流れて被害がなかったのですが、屋根勾配の小さな建物は雪が流れ落ちずに氷になってしまい、体育館などの大きな屋根の崩落やカーポートなどの倒壊という被害が出たのです。
先程触れたように、白川郷のような屋根勾配の大きな建物は、屋根に雪が積もった状態で雨が降ると雪が滑り落ちてしまい建物には悪い影響を与えません。その代わり、工場などの面積が広くて屋根勾配の小さな建物は、積もった雪を落とすにはかなり長い時間雨が降って溶かすしかありませんので、短期間の雨では氷に変わってしまい建物に悪い影響を与えます。なので、水上から水下までの距離が長く、屋根勾配が緩く、屋根の重量が軽い建物が対象になります。
どれくらい重くなるのかというと、元々積雪荷重が重い地域(積雪深度が60センチメートル)などではあまり影響はありませんが、今まで積雪荷重がそんなに重くなかった地域(積雪荷重が20センチメートル)などでは今までの2割増しから5割増しくらいの重量を見込む必要があります。
これから確認申請が必要な増築や屋根の吹き替えなどの大規模修繕工事を見込んでいる方はその建物が「既存不適格」になっている可能性が高いです。「既存不適格」とは「違法建築物」とは違うのですが、現在の建築基準法に照らし合わせると適合していないという意味で、何もしなければ問題ありません。しかし、増築や外壁のやり変えなどをするのに役所に確認申請を提出すると、「今現在の建築基準法に適合させてください」という指示が出ます。
古い建物はほとんど「既存不適格」の建物です。それでも、増築や改築するのにハードルが上がると二の足を踏む人も多くなります。お金があって、いくらお金がかかってもいいからしっかりとした、最新の基準に照らし合わせても問題のない建物に生まれ変わらせてほしいという施主様もあまり聞きません。みなさんコストパフォーマンスよく、少ない予算で問題のない建物を要望します。なのに、見込むべき積雪荷重が増えているがために増築を諦めてくださいと伝えるときには施主様に申し訳なく思います。
建物は一度建ててしまうと、気に入らなくても次に建て替えるまで長い間抜本的なやりかえを行うのは難しいです。それだけに将来を見据えた計画をすることが大事になりますが、新型コロナウィルスで今後どのように世の中が変わっていくか分からないタイミングでこのセリフをお伝えするのは少し心苦しいです。
皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。
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