『新「いい家」が欲しい』を読んで!(前編)

建築一般

遅ればせながら、松井修三さん著の『新「いい家」が欲しい』を読みました。旧版を読んだことはあったのですが、新しく改定されてから読んでなかったので、内容を思い出すためにも久しぶりに読んでみました。

著者の方の文章は自分がいいと思う事はすごく褒めまくるのですが、反対にそれ以外のことに関してはケチョンケチョンに書いてあるので、読んだ人にとっては世間一般のハウスメーカーや工務店などは信用のできない存在に変わると思います。基本的なテーマは「住み心地」を追求して家を建てることを目的として、建て主は家について勉強して自分の感性を具現化できるように、自分に合った住み心地を提案してくれ、そして建ててくれる工務店を見つけましょう。という内容でした。言わんとしていることはもっともなのですが、内容が漠然としすぎていたので、いくつか気になった点を挙げたいと思います。

1.「温もりがなく、硬く、冷たく、痛い感じの鉄やコンクリートの器では、赤ちゃんやお年寄りがかわいそうです。いくら地震や火事に強く、100年長持ちすると言われても選ぶ気になりません。自分が嫌だと思うものを、その程度の理由で人に勧めることは良心が許してくれません。P.58」すいません、建築の構造を担当しているモノからしたら地震や火事に強いものを『その程度』と書かれるのはスゴク残念な感じがします。著者が木造住宅を愛してやまないのは文章からひしひしと伝わってくるのですが、木造以外の構造体への風当たりは強いです。外断熱にした場合の熱容量の話が出てくるのですが、木造よりも鉄筋コンクリートの方が熱容量が大きいので快適に過ごせるとは思うのですがスルーされています。

2.「木の箱と鉄の箱とコンクリートの箱に子ネズミを入れて20日後の生存率を調べたところ木製では88%生きていられるのに、鉄製では半分以下の42%、コンクリート製ではわずか7%しか生きられなかったそうです。P.67」 だから鉄筋コンクリートでできた家では長生きできませんというのは極論すぎると思います。確かに24時間ずっと鉄やコンクリートに触れていては体温を奪われて低体温症になってもおかしくはないのですが、実際の鉄骨造や鉄筋コンクリート造の家に住んでいても内容は木製なのですから、そんなにコンクリートや鉄に触れている時間は木造の家に住んでいる人と差があるとは思えません。

3.「価格だけでは、大工さんや職人さんの腕の違い、モチベーションの差など分かるわけもありません。P.205」(だから家を建てた人の感想を聞いて参考にしなさい) その通りだと思いますが、それは大手のハウスメーカーでも工務店でも同じことが言えるわけです。一番いいのは同じ仕様の家を建てるためにいくらで建ててくれるかという事が分かれば一番いいのですが、こればっかりは一から十まで仕様の違う提案と見積もりを出されるので単純比較はできないんですよね。

ただ、本の内容の半分以上はもっともだと言えることが書いてあります。その最たるものは木材は輸入品ではなく国産品をもっと使うべきで、人工林は手入れが必要なので、「森林とそれを活かすための林業の重要性を啓蒙すべきP.72」 私も日本にはこんなに素晴らしい自然がいっぱいあるのにそれを活かしきれていないといつも感じています。 現状は木材の流通網の整備がしっかりしていないので、林業に携わる人が年々減少しています。 何とかしたいところですね。

皆さんも頑張って広告や新聞やニュースの裏を読んでくださいね。

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