構造設計のところに届く苦情と言うとどのような問題が生じていると思いますか?私達が受け付ける苦情で一番数が多いものが工場や倉庫の床でひび割れが入るというものです。冷凍室や冷蔵室などは気温が低くなるため普通の建物よりひび割れは多くなります。
建物を作っている素材としてコンクリートや鉄、木などがありますが、殆どの材料は温度によって伸び縮みします。木や鉄は伸び縮みしてもそんなに不具合が起きることはないのですが、コンクリートに限っては面積が大きくなればなるほど縮んだときにひび割れが発生してしまいます。
よく言われるのが、鉄とコンクリートの伸び縮の割合は同じなので相性がいいということですが、30度の温度差があると鉄やコンクリートはどれくらい伸び縮みするかご存知でしょうか。
答えは0.03%です。たかだかそんなもんかと思うでしょうが、大きな建物になればなるほど影響が大きくなるのです。手の平くらいの大きさのコンクリートや鉄では見た目にもそんなに変わらないのですが、20mや100mの広さの空間ではどうでしょう。20mの広さの部屋でいうと6mmです。床が冷えて縮んだときにコンクリートはどこかで6mmの隙間を作らないといけないので壁際や段差部分など厚みが変わるところなどでひび割れを発生させて6mmの隙間を作るのです。それがひび割れです。逆に温度が高くなればそのひび割れはくっついて見つけにくくなります。
横に大きな100mの建物ではどうでしょう。30度の温度差で30mmですが、夜冷えて、お昼に直射日光に当たるような屋根部分ではもっと温度差が大きくなりますのでどこかでその変形を吸収してやる必要があります。建物を拘束しているのが地面ですから、高さが高い建物はいくら伸び縮みしても影響ありません。ですが横に大きな建物は地面に拘束されたまま伸び縮みする必要がありますので、あまりに長い建物はエキスパンションジョイントでいくつかの建物に分けたりするのです。
工事現場はエアコンもかけずに常温で作業していますから、その状態で作ったコンクリートや鉄は常温と同じ温度です。夏の作業ですとだいたい30度くらいでしょうか。冷蔵室や冷凍室は+5℃、-25℃といった温度まで冷やす必要があります。確実にひび割れが発生するのは分かりますよね。
それでなくてもコンクリートというのは縮むものなんです。コンクリートなんて糊と同じようなものですから乾燥したら糊と同じように縮むんです。みなさんも引き出しの中にほったらかしにしていた糊がカピカピになって縮んでいるのを見たことがあるのではないでしょうか。コンクリートも固くなる過程で水分が飛んでいって体積が減るので、目に見えないけれども縮んでいるのです。なので縮んだ分はひび割れすると思ってください。個人住宅などあまり大きくない建物だとひび割れの影響も殆どないので心配はいりませんし、ひび割れ自体で建物の強度が落ちるということも殆どないので心配することはありません。
ただ、見た目にはひび割れなんてないほうが良いのはよく分かります。過度に心配するのはいけませんが、何も言わないと誰も対応してくれませんので気になるならば施工店に少し気になる旨を伝えるのも良いかもしれません。今後の対応方法のアドバイスはいただけると思います。
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