災害に対して想定外という言葉はよく使われるようになりました。気象観測を始めたのが1872年ですから、日本の観測の歴史はたかだか150年くらいしかありません。その間に経験したことしか想定のしようがなくて新しい規模の災害はほとんどが想定外になります。想定外を減らすために進化し続けている日本の法律について紹介します。
建築基準法の歴史
昭和25年(1950年)に建築基準法が制定されてから地震、台風、豪雪、水害、火事などの災害があるたびに法改正が行われてそのたびに建築基準法は厳しくなっています。昭和43年(1968年)には北海道の十勝沖で地震があり両側に窓があるような柱でX型のひび割れが多数発生したため柱の中の帯筋(フープ)と呼ばれるコンクリートを拘束するための鉄筋量をそれまでの3倍に増やすというような法改正が昭和46年(1971年)にされたりしています。このような事があると、法改正が行われるたびに建物の強度は上がっていくのですが、現行基準と合わない既存の建物も増えていきます。
旧耐震と新耐震
昭和56年(1981年)にはエネルギー消費を考慮した計算手法として保有水平耐力計算というものが法律に加わりました。これは昭和53年(1978年)に起きた宮城県沖地震の地震被害があまりにも甚大で構造規定の大改訂が行われたため、これまでと違う設計方法が採用された事もあり「新」耐震と呼ばれています。この大改正により今でも耐震性能があるかどうかの境界という意味で「新耐震で設計されているかどうか(昭和56年以前か以後か)」の判断基準になっています。
阪神大震災の教訓
阪神大震災では都市直下型の地震だったために上下の激しい揺れが最初に起こりました。そのため、ピロティ構造など上部の重さを支えている1階の柱に大きな力が加わり壊れるという被害が多く、今では柱が異様に大きくなることもあってピロティ型の建物の採用は少なくなっています。この年はボランティア元年と呼ばれるほどに日本人が人のために何ができるのかを考えるキッカケとなった災害でもありました。
災害対策基本法も変化し続けています
昭和36年(1959年)の伊勢湾台風をキッカケに成立した災害対策基本法も同様に進化しています。東日本大震災では巨大津波の影響で建物だけでなく何もかもがメチャクチャになって、各都道府県では対応できず国が主導となって救援物資を届ける初の災害となりました。豪雪で立ち往生した車両を所有者の同意なしに撤去できるようになったのも平成26年(2014年)になってからで、平和な時しか想定していない今の日本国憲法とは相容れない内容なので、早く憲法を改正してほしいものです。
まとめ
2011年3月11日に起こった東日本大震災から本日でちょうど10年になります。この10年間にも2014年の豪雪災害、2014年の広島の豪雨による土砂災害、2016年の熊本地震、2019年の台風被害など記憶に残る災害がいくつも発生しています。木造住宅の減少や建材の進化で大火災の被害は少なくなっていますが、改めて日本は災害大国だということを思い知らされます。建物が無事であることは大事なことなのですが、普段から生き延びるために何をしなければならないか訓練しておくことも大事だと感じています。
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