地盤と地震の揺れとの関係

構造

以前の記事でも触れたのですが、日本の法律の考え方としては過去の地震の頻度を元にしてその地域の地震の強さを設定しています。その地震の強さに耐えるような建物なら建築の許可は下りるのですが、実際はその建物が建っている地盤の状況によって揺れの大きさは大きく変わってきます。例えば、山を造成したような新興住宅地ではひと目見ただけでは分からないのですが、山を切り開いた切土の部分と、谷を埋め立てた盛り土の部分では土の性状が違うので揺れの大きさはたとえ隣同士であっても大きく変わってきます。

地震の地域係数とは

https://house-yaoyorozu.com/2020/01/30/seismic-coefficient/

分かりやすく例えるなら手の平の上に豆腐を置いてそれを小刻みに揺らしてみると分かりやすいと思います。手の平の揺れ以上に豆腐の方がプルプルとよく揺れるのです。軟弱地盤というのは豆腐で、その下のしっかりした地盤が手の平の役割をするのです。地震というのは地中の奥深くから伝わってくる波ですから、波が伝わりやすい地盤と波が伝わりにく地盤というものがあるのです。

では、地盤に合わせた設計をする方が経済的には良いのではないかと考えるのですが、それはそれで手間がかかりすぎて良くないのです。60mを超えるような高層建築物は地震の波の伝わりまで考慮して設計しますが、一般的な建築物はそんな手間をかけずにある程度余裕をもって設計する方が経済的なのです。

実は建築の構造設計士っていうのは少数民族で、あまりたくさんの仕事を一度に抱えることはできません。アルバイトを雇って「ちょっと計算しといて」と言えるならば高層建築物のようにその土地の地盤に合わせた地震波で検討もできるのですが、世の中では微分積分を使って計算するような仕事は毛嫌いされるようです。

以前もキャンプに行ったときに、キャンプ場のオーナーさんとコーヒーを飲みながら「仕事で微分積分やサインコサインタンジェントを使ってます。」という話をしたら次に行った時には「微分積分さん」というあだ名をつけられていました。

関東平野や濃尾平野、大阪平野など大都市圏というのは軟弱地盤に広がっていることが多く、街の中心街にあるビルは地中に杭を打って建物が沈まないように支えています。そのため、地震があるとよく揺れる建物ばっかりです。山の中腹の岩盤がむき出しの土地に立派なビルと建てるが安全性が高くて防災性能は高いのですが、交通が不便ですし、川もないし、材料を運ぶのも大変ですから町の機能としては満足できないのでしょう。

今は便利な世の中なので、インターネットで50,60年前の航空写真を見ることもできますから、一度ご自分の建っている家が以前はどのような土地だったかをチェックしてみるのもいいかもしれませんね。

航空写真閲覧サイト

地図・空中写真・地理調査 | 国土地理院

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